【2024年7月施行】空き家等に係る媒介報酬額の見直しによる賃貸オーナー様へ影響について

 従前は賃貸ご紹介時の不動産会社の報酬(仲介手数料)は借主・貸主併せて1ヵ月分+消費税が上限として設定されておりますが、2024年7月1日以降は一部見直され、長期空室の場合は貸主様から上限を超えて報酬が受領できることとなります。この見直しの概要と、賃貸オーナー様への影響についてお伝えします。

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最初に結論を言ってしまうと、ほぼ影響なし

 現に賃貸アパート・マンションを所有され、事業をされているオーナー様へはほぼ影響がありません。ここでほぼとお伝えしたのは、例えば家族から空き家(分譲マンションの一室を含む)を相続され、そのお部屋を賃貸へ出そうとされる場合などはもしかしたら影響が出る可能性があります。

見直しの概要

 令和6年6月、国土交通省で不動産業による空き家対策推進プログラムが策定されました。その中で空き家等の流通を促進させるため、現状定められている報酬額が見直されることになりました。

空き家等の流通促進が喫緊の課題となっている一方、宅建業者が空き家等を取り扱うにはビジネス上の課題があることから、報酬上限の見直し

国土交通省 資料 空き家等に係る媒介報酬規制の見直し より

 端的に言うと、長期空き家の紹介にはより広告や紹介にお金がかかるだろうから、特例として報酬をもっともらってもいいですよという内容です。

 具体的には上記の表のとおり、通常の募集は今まで通りですが長期空き家の場合などの「特例」には、貸主様から頂く報酬に上乗せが可能となり(借主様へ上乗せは不可)原則による上限を超えて不動産会社が報酬を受領できるようになります。

 ここでお読みになっているオーナー様が混同されるといけないので補足させていただくと、上記の報酬は「仲介手数料」の事であり、「広告料」とは別の話です。また不動産会社によってはオーナー様が仲介手数料を払わず借主様が1ヵ月分を支払っているケースもあるかと思いますが、その場合であっても上乗せ分の1ヵ月分を上限に不動産会社が貸主様に請求できるようになります。しかし請求には事前にオーナー様の承諾がもちろん必要です。

特例の対象となる長期空き家の条件

 特例の対象となるお部屋は以下の条件に当てはまったもののみです。

「現に長期間にわたって居住・事業の用途に供されていない」、又は「将来にわたり居住・事業等に供される見込みがない」、戸建てや分譲マンションの一室

 具体的には、少なくとも1年を超えるような期間にわたり居住者が不在となっている戸建てや分譲マンションの空き室であること、又は相続等に利用されなくなった直後の戸建てや分譲マンションで、今後自ら住んだり貸したりされる見込みがない場合に適用されます。

 ちなみに賃貸アパート・マンションの長期空室は、賃貸として運営している時点でオーナー様が事業の用に供しているので対象外です。上記で該当しそうなのは例えば戸建てを相続してリフォームしようとしたけど、やはりやめて賃貸市場に出そうといったレアケースであると言えそうです。

最後に

 今回は空き家等に係る媒介報酬規制の見直しについてお伝えしました。今回の改正では賃貸アパート・マンション運営なさっているオーナー様には直接の影響は少ないというかほぼ無いものと思います。今後も動向に注視し、有益な情報を発信できればと思います。

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