【アパート契約前必読】賃貸アパート・マンションの設備「プロパンガス」料金の事前確認のすすめ

 賃貸アパート・マンションのご紹介をしている中で本当にブラックボックスであったプロパンガスの料金。そこにとうとう改正のメスが入ることとなり、契約前にプロパンガスの値段を知ることが出来るようになります。本記事ではなぜブラックボックスであったのか、その原因と改正によって可能となる料金の事前確認についてお知らせします。

目次

はじめに~プロパンガスと都市ガスの違い

賃貸アパート・マンションの目線で簡単にお話しさせていただくと、①利用料金②会社選択の自由③導入費用に大きな違いがあります。

①利用料金について

都市ガスはガスの供給元からガス管で家までつながっているため、開ければガスが出ます。一方プロパンガスはガスの供給元でボンベにガスを詰め、車で供給先に運び、交換するという手間が発生します。その分、利用料金は上乗せとなり総じて都市ガスよりもプロパンガスの利用料が高くなる傾向にあります。

②会社選択の自由について

都市ガスは自由化により様々なガス会社を選ぶことが出来ます。(契約書等で貸主指定の場合を除く)例えば電気と一緒にするとお得になったり、ポイントが付いたりとお得なプログラムもありますよね。プロパンガスは供給元は選択できず、オーナー様と契約された1社のみとなります。

③導入費用について

都市ガスは近くに埋まっているガスの本管から引き込み工事が必要となります。近くに本管がある場合は安く済みますが、離れている場合は高額な費用が必要となります。一方、プロパンガスはボンベの設置場所さえあればよく、つなげる工事さえすれば導入できるというメリットがあります。

施行規則改正に至る原因となったプロパンガスのブラックボックスな料金

  1. 新築アパートを建てるオーナー様に○○ガスの営業マンはアパートで必要となる設備をただで入れるので、当社のLPガス(プロパンガス)を導入してくれませんか?と提案します。
  2. アパートオーナーは建築費(エアコンや給湯器の購入費用)が安くなること、また都市ガスに比べてもガスの引き込み工事の費用も不要となるなどの説明を受け、契約してしまいます。
  3. ガス会社はアパート建築時にオーナーに支払った費用を入居者のガス料金に上乗せして帳尻を合わせます。
  4. アパートの入居者は使用後請求が来て初めて〇〇ガスのガス代が高いと気づきます。

アパート入居者は事前に料金を知ることが出来ず、引っ越し後請求が来て初めて値段が高いことに気づきます。しかも「ガスの使用料」として請求されるため、その中に本来アパートオーナーが負担すべき設備費用が転嫁されて入っていることはわからず、また高かったとしても他にガス会社を選択できないため使い続けるしかありません。

一方で企業努力によって都市ガスと同水準で頑張っている会社さんも存在します。つまり、会社によっても、アパートによっても費用が異なり請求が来てみないとわからない=ブラックボックスという状況なのです。

改正の内容

LPガスの商慣行是正に向け、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令が2024年4月2日に公布、7月2日に施行され、プロパンガス会社に以下の制約が課されるようになります。

  1. オーナーへ過剰な利益供与の禁止
  2. プロパンガス料金の事前提示の努力義務(入居希望者に直接かオーナー、不動産会社等を通じて提示)
  3. 入居希望者から料金の提示要求があった場合は開示を義務付け

また2025年4月2日から以下の制約も追加で課されるようになります。

  1. 基本料金、従量料金、設備料金と3つの区分に分けて請求
  2. エアコンなどのプロパンガスと関係ない設備費用や、ガスコンロなどガスを消費する設備費用について、プロパンガス代として請求することの禁止(賃貸の場合。新規契約から)

※経済産業省「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令」を公布しましたのページより賃貸に関わる部分を抜粋してまとめております。全体はリンクよりご確認ください。

前段の4コマの原因がすべて排除されることになります。1つ注意いただきたいのはプロパンガス会社が自主的に開示するのは努力義務である一方、入居希望者が訪ねた場合は開示しなければならない義務であるという点です。

契約前のプロパンガス料金の事前確認のすすめ

気に入ったお部屋の設備がプロパンガスであった場合は、紹介してくれている不動産会社に「プロパンガス料金はわかりますか?」と聞いてみましょう。もし事前提示されていれば不動産会社が料金を教えてくれます。もし開示されていない場合はガス会社の連絡先を聞き、直接確認してみて下さい。そして一人暮らしの使用料は毎月だいたい5㎥と言われているので計算し、お家賃と合算して考えてみましょう。

また基準として高いか安いか平均を知りたいという方は政府の統計ポータルサイト「e-Stat」に全国主要都市におけるプロパンガス代金(基本料金+10㎥使用時の料金のため比較時注意!)が掲載されていますので参考にされるといいかと思います。※ちなみに浦安市の場合は浦安のプロパンガス代というピンポイントの統計調査結果もあります。

e-Stat(政府統計ポータルサイト)物価統計調査ページ(検索窓にプロパンと入れて検索してみて下さい)

最後に

今回はプロパンガス料金が事前に知ることが出来るようになる省令の改正についてお話いたしました。私は長年賃貸業界にいるのですが、この省令改正によってやっと毎月のトータルコストでお部屋がご提案できるようになると嬉しく思っています。例えば一人暮らしでオートロックあり・都市ガスのマンションと、オートロック無し・プロパンガス・ちょっと家賃お安めのマンションがあった場合、今まではプロパンガスの料金が不明であったので強くオートロックのマンションをおすすめできませんでしたが、事前確認によって都市ガスとプロパンガス料金の比較ができるようになり、トータルでどっちがお客様にとっていい生活が送れるかをお伝えできるようになるからです。

またページ中でも触れましたが、リベート等せずに営業をしているプロパン会社様、企業努力によって都市ガス並みの料金で提供しているプロパン会社様も多く存在します。かく言う私の実家も都市ガスとプロパンガス会社で比較しそんな大差がなかったことからプロパンガスを使用しています。またプロパンガス導入で建築コストが安くなった=家賃を下げて募集ができている可能性もあります。大事なのはガス料金と家賃とを合算してお客様にとって高いのか安いのかを判断することだと思います。

オーナー様向け記事もありますので、興味がある方はこちらからお読みください。

オーナー様向けプロパンガス料金確認のすすめ

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