【アパート契約前必読】賃貸アパート・マンションの設備「プロパンガス」料金の事前確認のすすめ

これまで、賃貸アパート・マンションのプロパンガス料金は「ブラックボックス」と言われることがありました。
その理由は、料金体系が不透明で、実際に入居するまで正確な料金を知ることが難しかったからです。

しかし、2024年7月2日から法改正により、プロパンガス料金の表示が義務化され、契約前に料金を確認できるようになりました。

このページでは、

  • なぜプロパンガス料金が「ブラックボックス」と言われていたのか?
  • 法改正で何が変わるのか?
  • 事前確認の仕方

について詳しく解説していきます!

目次

はじめに~プロパンガスと都市ガスの違い

賃貸アパート・マンションにおけるプロパンガスと都市ガスの違いを簡単にまとめると、①利用料金 ②会社選択の自由 ③導入費用の3つが大きなポイントです。

① 利用料金の違い

  • 都市ガスは、ガスの供給元からガス管を通じて直接供給されるため、コストを抑えやすいのが特徴です。
  • プロパンガスは、ガスをボンベに詰めてトラックで配送・交換する手間がかかるため、その分料金が上乗せされ、都市ガスよりも利用料金が高くなる傾向があります。

② 会社選択の自由

  • 都市ガス自由化によりガス会社を選択可能 です。(※契約書で貸主指定がある場合を除く)
    → 電気とセットで割引があったり、ポイントが付くなどのメリットも。
  • プロパンガスは、オーナーと契約した1社のみが供給するため、利用者が会社を選ぶことはできません。

③ 導入費用の違い

  • 都市ガスは、近くのガス本管から引き込み工事が必要です。
    本管が近ければ安く済むが、遠いと高額な工事費がかかり、その分家賃が高めになる傾向が有ります。
  • プロパンガスは、ボンベの設置スペースさえあれば、比較的簡単に導入可能なのがメリット。

なぜプロパンガス料金が「ブラックボックス」と言われていたのか?

高すぎるガス代

本来、建物の設備費用はオーナーが負担し、それを家賃として入居者に請求するのが原則です。

しかし、プロパンガス会社のオーナー囲い込みの手法として、以下のような仕組みがよく用いられてきました。

プロパンガス会社が、オーナー負担のはずの設備費用を一部負担(無償貸与)する
その見返りとして、オーナーと独占契約を結び、ガス供給をする

この手法自体は違法ではありません。しかしガス会社によっては、その設備導入費を入居者のガス料金に上乗せして回収するケースがあり、これが「高すぎるガス代」の一因となっており、入居後のトラブルの元となっていました。

入居者が事前に料金を知ることができなかった

最大の問題は、入居者が引っ越し後に初めてプロパンガス料金が高い事を知るという点です。

📌 料金が事前に開示されないため、高額請求に気づくのは引っ越し後
📌「ガスの使用料」として請求されるため、設備費用が含まれていることに気づけない
📌 ガス会社を自由に選べないため、料金が高くても使い続けるしかない

こうした状況が、「プロパンガス料金はブラックボックス」と言われる理由です。

法改正でどう変わるのか

以前より資源エネルギー庁を始め業界団体は取引適正化ガイドラインを定め、取引の透明化に努めていましたが、今回経済産業省よりLPガスの商慣行是正に向け、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令が2024年4月2日に公布されました。これによってプロパンガス会社へ以下の制限が課されるようになります。

2024年7月2日施行内容

オーナーへ正常な商慣習を超えた利益供与の禁止

設備を負担するといった、度を超えた囲い込みの営業手法ができなくなります。

消費者の事業者選択を阻害するおそれのある、LPガス事業者の切替えを制限するような条件付き契約締結等の禁止

もし切り替える場合には多大な違約金が発生するなど、事業者選択の妨げとなるような内容の契約が禁止されます。

賃貸アパート・マンションの入居者への情報開示

  1. プロパンガス料金の事前提示の努力義務(入居希望者に直接かオーナー、不動産会社等を通じて提示)
  2. 入居希望者から料金の提示要求があった場合は開示を義務付け

2025年4月2日施行内容

料金表示の徹底

  1. 基本料金、従量料金(ガスの使用料金)、設備料金(ガスと関係ないwi-fi利用料金とかエアコンの設備代など)と3つの区分に分け請求の透明化
  2. エアコンなどのプロパンガスと関係ない設備費用や、ガスコンロなどガスを消費する設備費用について、プロパンガス代として請求することの禁止(賃貸の場合。新規契約から)

今まではまるっと「ガス料金」で請求が行われていたのでブラックボックスだったガス料金が、基本料金、ガス使用料、設備代と3つの区分に分けて請求されることとなり、また施行日以降新規でガスを契約する顧客には「設備代」の請求自体ができなくなります。

※経済産業省「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令」を公布しました より

プロパンガスの料金確認方法

気に入ったお部屋の設備がプロパンガスであった場合は、紹介してくれている不動産会社に「プロパンガス料金はわかりますか?」と聞いてみましょう。もし事前提示されていれば不動産会社が料金を教えてくれます。

もし開示されていない場合はガス会社の連絡先を聞き、直接確認してみて下さい。紹介した通り開示は義務となっており、罰則規定もあるため教えてもらえると思います。その際は料金表示の徹底で紹介した、「基本料金」「ガス使用料金(単価)」「設備料金」で教えてもらうのがベストですね。

そして一人暮らしの平均的なプロパンガスの使用量は約5㎥といわれているので、毎月のおおよそのガス料金は

基本料金 + ガス使用料(円/㎥)× 5㎥ + 設備料金(あれば)

で求めることが出来ます。ただし、お料理を本格的にやっていたり、シャワーを長く浴びたりなどの習慣がある方などはガス料金が試算よりも高めになる傾向なので、ご注意下さい。

またその料金が高いか安いか平均を知りたいという方は政府の統計ポータルサイト「e-Stat」に全国主要都市におけるプロパンガス代金(基本料金+10㎥使用時の料金のため比較時注意!)が掲載されていますので参考にされるといいかと思います。※ちなみに浦安市の場合は浦安のプロパンガス代というピンポイントの統計調査結果もあります。

e-Stat(政府統計ポータルサイト)物価統計調査ページ(検索窓にプロパンと入れて検索してみて下さい)

最後に

今回はプロパンガス料金が事前に知ることが出来るようになる省令の改正についてお話いたしました。私は長年賃貸業界にいるのですが、この省令改正によってやっと毎月のトータルコストでお部屋がご提案できるようになると嬉しく思っています。例えば一人暮らしでオートロックあり・都市ガスのマンションと、オートロック無し・プロパンガス・ちょっと家賃お安めのマンションがあった場合、今まではプロパンガスの料金が不明であったので強くオートロックのマンションをおすすめできませんでしたが、事前確認によって都市ガスとプロパンガス料金の比較ができるようになり、トータルでどっちがお客様にとっていい生活が送れるかをお伝えできるようになるからです。

またリベート等せずに営業をしているプロパン会社様、企業努力によって都市ガス並みの料金で提供しているプロパン会社様も多く存在します。かく言う私の実家も都市ガスとプロパンガス会社で比較しそんな大差がなかったことからプロパンガスを使用しています。またプロパンガス導入で建築コストが安くなった=家賃を下げて募集ができている可能性もあります。大事なのはガス料金と家賃とを合算してお客様にとって高いのか安いのかを判断することだと思います。

オーナー様向け記事もありますので、興味がある方はこちらからお読みください。

オーナー様向けプロパンガス料金確認のすすめ

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